PS/55E 5538 

 

当 モデルに関しては Tamura氏によるサイト( 閉鎖につき waybackmachineのアーカーブ)をごらんになることをお勧めします。  当モデルの分解方法については綺麗な画像付きで詳しく紹介した こちらのサイト がお勧めです。( 5538-Uが対象 ですが、他のモデルもほぼ同様です。)
本来であれば左側下部I/O部を覆うカバーが付きます 


Model 5538  ( PS/55E )
5538シリーズは PS/55 とはいうものの初代ノートPCが "PS/55"であったのと同様、日本IBM PCのブランドが PS/55 であったため PS/55 の冠がついたようなものだといえるのではないかと思います。 PS/55 といえば「MCA」といって過言ではないと思いますが、PS/55E は非MCAです ( DSEKTOPでは PS/55Z 5510-Z/S という 非MCA機がありますが...)。
ご本家の PS/2e に対抗したわけではないでしょうが、ハイスペック好みの日本市場向けのグリーンPC規格を満たした省エネ、省スペース機、それが PS/55E といえるでしょう。
形状はというと THINKPAD のシステムボードを厚めのしっかりした縦置きケースに収め、傾斜角度可変かつ高さ調整可能なLCDパネルを付けた省エネ、省スペースのでっかい THINKPAD というべきものです。 当初はグリーンPCと紹介されていましたが、その後 PC STREAM と改められています。 

概要は2機種のみ IBM のサイトにあります。 5538-Z  5538-V 

モデルバリエーション
 

 初期型   "GREEN PC"

  5538-W 5538-Y 5538-Z
  WVB YVB  YWC    YAC  ZWC 

 ZAC

 CPU i486SX-33 3.3V i486DX-33 3.3V
 RAM  4MB 4MB  8MB 20MB 8MB 20MB
 VRAM

1MB

 VIDEO WD90C24    WD90C24           S3 Vision 86C928
VGA 256C   VGA, 256C SVGA, 256C
 DISPLAY 10.3" DSTN カラー

10.4" TFT カラー

12.1" TFT カラー

 FDD 3 モード 4 モード ( 2.88MB/1.44MB/1.2MB/720KB )
 HDD 170MB 170MB 340MB
 I/O PORT
 SCSI  None  FutureDomain ( RS6000タイプの 60pin ミニセントロニクス 外部コネクタ)
 PC CARD Type III x2 Type III x4
 DRAM CARD SLOT

2

 Audio 

 無し

                        ?
 導入済み OS  DOS J6.3/V DOS J6.1/V  Win J3.1 OS2J2.1  Win J3.1  OS2 J2.1
 発売時期  1994. 5

1993. 10

 キーボード オプション オプション  5576-C01 ( TrackPoint  II 付 106キー)
後期モデル  "PC STREAM "

 5537
LCD -Less Model

  5538-U 5538-V
  UWD VVC VWC VWD ZVC  ZAC
 CPU  i486DX4-75 i486DX2-50 i486DX4-75 i486DX2-50
 RAM  ? 4MB 8MB 8MB 4MB 20MB
 VRAM 1MB 1MB 1MB
 VIDEO WD90C24 S3 Vision 86C928
VGA, 256C SVGA, 256C
 DISPLAY 10.4", TFT 11.3", DSTN  None
 FDD 3 Mode  4 Mode 
 HDD 340MB 270MB 340MB 340MB
 I/O PORT
 SCSI

無し

Future Domain
 PC CARD Type III x2  Type III x4
 DRAM CARD  SLOT 2 2
 AUDIO None CS4248KL
 導入済み OS Poss DOS J6.3/V & Win J3.1 DOS J6.3/V  DOS J6.3/V & Win J3.1 DOS J6.1/V OS2 J2.1
 Released Date 1995. 6 1994. 11 1994.11 1995. 6 1994. 3


Easy Setup メニュー
セットアップメニューを表示するには電源投入時に同時に F1キーを押します。
メニューは全て 英語 表示になっています( 少なくとも 5538-Y と 5537-Z はそうなっています。)
(英語圏で販売されたという話は聞いたことがありません)

CPU 
SL ENhanced 3.3V品が全モデルで使用されています。
CPU はサブボード形式になっており他機種のCPUサブボードに取り替える事が可能なようです。
その気になれば AMD 5x86 に張り替えることも可能のようですが相当な技術力と若く健康な 「目」が必要でしょう。

Memory 
全モデルともシステムボード上に 4MB の RAM を搭載します。 メモリの増設は IC DRAM Card で行います。 カードスロットは右側に2口設けられており IBMのガイドブックによれば 36MB ( 4MB IC DRAM +16MB IC DRAM)  まで増設可能となっています。
実際には 16MB と 32MB を使用して トータル 52MB まで増設可能です。
Y/Zモデルには純正オプションとしてモデルとしての パリティー付カードが記載されていますが、ノンーパリティカードも使用可能です。

  注 1: Tamura 氏のページによれば, IC DRAM については以下のように記されています.

Zモデル

 パリティ カードが必要 
 ( 手持ちの 5537-ZAC はノンパリティを使用可能なのだが.... )

Y/V/W モデル

パリティ、ノンーパリティいずれも使用可能。 EASY SETUPでタイプを指定。

Uモデル

Easy Setupにメモリーチェックの選択項目は無いがノンパリ、パリ付ともに使用可能。

注 2:  
2口あるメモリスロットのうち 上部のスロットは16MB あるいは 4MB のみ使用可能。
このスロットに 8MB もしくは 32MB DRAM カードを挿入すると 実容量の半分しか認識されません。

 

    純正品には以下のカードがあります。
 

ID  容量 FRU
06G9242    4MB  Parity  07G1415  P/N 40G1914, P/N  40G0275 もあり
06G9243    8MB  Parity  07G1416
66G6575  16MB  Parity  66G0094  P/N 66G0093、 P/N 66G8262 もあり
84G5691    4MB  NP 84G5724  92G7237
84G5694    8MB  NP  84G5725  92G7236
84G5697  16MB  NP 84G5726  92G7424


   サードパーティ品では以下のものが 5538-YVB や 5537-ZAC で使用可能でした.
    

 メーカー  

容量  タイプ   ID
 Kingston 16MB  パリティ無し KFJ-NEM/16
 Kingston パリティ無し KTMTP360/16  145-010.A00 
  ( PRINCETON TB973081 ) 
 Fujitsu 16MB  パリティ無し FMVNEM161  P/N  CA46006-6270
004M32R2CA0-08F0P5E
 Fujitsu 16MB   パリティ有り FMBNEM161  P/N  CA46006-6256
004M36R2CA0-08F0P5E
 Hagiwara 32MB パリティ無し HMC-A032 
 GreenHouse 32MB パリティ無し JD32NF

    IC DRAM カードについては こちら もごらんください. 

HD
U/V モデルは E-IDE をサポートしますが、 W/Z/Y モデルは EIDE 対応ではありません。
私は 5537-Z に EZDRIVE 併用で 820MB HD を使用しました。

 

Y ならびに Z モデル
マスタードライブ は内部の構造体にネジ止めされており、これを取り外すには本体を Uモデル以上 に分解する必要がありますので Uモデルと比べて結構面倒です。 全モデルともに 追加ドライブ用のスロットが準備されており純正のHDパックがオプション品で用意されていました。 ドライブケージは  ThinkPad  M23V, C23V あるいは TP550/555BJ などのものが流用できます。    TP720/TP720C用のものは形状は同一ですがキーホールの位置が異なりますので流用の際は穴あけ加工が必要です。

    純正オプション                  P/N           価格 ( \)
      170MB オプションパック   66G7049 
      340MB オプションパック   66G8641     98,000 
      527MB オプションパック   84G7056    148,000 

FDD
FDD 1基搭載.   U/V/W モデル用は 3モードドライブ、 Y/Z モデル用は 4モードドライブ. 
          3モードドライブは 1.44MB/1.2MB/720KB の読み書きが可能 
            4モードドライブは  2.88MB/1.44MB/1.2MB/720KB の読み書きが可能 

ISA Slot
   無し.

PCMCIA
    U/V/W ;Type 3 x 2
    Z/Y      ;Type 3 x 4

   NT4, Win95B and OS/2 J2.11 はいずれもこれらの PCMCIA スロットを使用可能. 

I/O ポート
RS232C 9ピン x2, 1  パラレル x1,  外部モニタ用 VGA ポート,  マウス・キーボードポート 各1. 
Z/Yモデルにのみ ミニセントロニクスの 60ピン SCSI コネクタ有り.

Click image to enlarge

SCSI ( Y and Z models only )
Y/Z モデルは FutureDomain SCSI  controller と RS6000タイプの外部SCSI コネクタを搭載しています。   5538 は MCA機ではありませんし IBM 純正 MCA SCSI を搭載するわけでもありませんが 外部SCSI ポートは何故か RS6000 タイプの 60ピン ミニセントロニクスです ( これが悩みの種かも )。
Y/Z モデルは PCMCIA を4口もっていますから PCMCIA SCSI カード を使うのが得策かもしれません。 MCAユーザーならコネクタに合ったケーブルをお持ちかもしれませんがケーブルが太くて硬いのしか入手できないようだと不安定になります。( 柔らかいのもあります)


S.CSI機器を使用する際は Easy Setup で SCSI  I/F を ENABLE にする必要があります。
DEFAULTでは OFF になっています。   Easy Setup Menuは電源投入時に F1キーを押します。

Setup で SCSI を ENABLE にして、実際に SCSI機器を接続しないで起動した場合はエラーコード  1047000 221 が表示されます。( そのままで起動することは可能です。)

Win95 はSCSI ドライバを標準で用意しており 
FD 850/M/MER/MEX SCSI HOST ADAPTER. が使用可能です

CD ROM用 DOS ドライバ
DOS用ユーティリティフロッピーが標準添付されますが CORREL POWER SCSI の FDCD.SYS も使用可能です。

 


LCD パネル
: 上の表を参照ください。

Video Chip
WD90C24 が Zモデル以外で使用されています。 
S3 86C928 が サブボード形式で Z モデルに使用されています。 

Win95下での WD90C24 による 256色表示 
Win95下で 256色表示をするには VESA.EXE をCONFIG.SYSに記述する必要があります。
VESA.EXE は  TP360/750 の Video Driver Diskette に含まれています。もちろん 5538 の Video Support Diskette にも含まれています。 

Audio
5538は基本的にオーディオ機能は持ちません。 
5538-Zxx モデルがオーディオ非搭載かどうか定かではありません。

Keyboard 
メカニカルクリックでトラックポイント-II つきの 5576-C01が初期モデルに標準で添付されていました。
5576-C01には2種類のタイプがあり、一つは本体へのケーブルが一本だけのもので、もうひとつは 途中でマウス・キーボードポート用に2本に分岐したケーブル ( Y ケーブル )を持つものです。


5537のマニュアルに1枚の紙切れがはさまれており、それによると C01 K/B あるいは 他のPS/2 K/B を使用する際は  「中間ケーブル」を併用することとなっています。
下の図はその紙切れのコピーですが、中間ケーブルがどのような機能を持つものなのかよくわかりません。  新品を購入したユーザーは別として多くのユーザーは 下 の 図 III による接続で「中間ケーブル無 し」で使用しているのではないかと思います。 私はそもそも「中間ケーブル」とやらを見たこともありません。


       図 1 
シングルコネクタの5576-C01
使用時の接続

           図 2 
K/B、マウスポート用 Yケーブ
ル付の 5576- C01 使用時の
接続 

             図 3 
  5576-001/002/003 あるいは 
  5576-A01/B01 K/B と PS/2
 マウス使用時の接続


ACアダプタ
   TFT モデル      ; 18V/3.3A  P/N 66G9434 FRU 66G9439 
   DSTN モデル   ;  20V/2.0A  P/N 84G7142 FRU 84G7156
   コネクタタイプ   ;  2-ピン 円形(筒状)コネクタ。 センター プラス。

PS/55E と PS/2e
両者は形状あるいは内部構造ともにまるで別物ですが、基本コンセプトは似通っています。
いずれも エナジースター計画(Energy Star プロジェクト; US EPA : Environment Protection Agency  と US DOE :Department of Energy  による省エネルギープロジェクト)による 「グリーンPC規格」 を満たす PC としてデザインされています。 この件について詳しくは IBM Environmental Milestone を参照してください。
PS/2E と PS/55E はいずれも時代を先取りした製品で世に出るのが早すぎたともいえると思います。 何しろパーソナル向けには値が張りすぎました。  最近は PS/55E の流れを汲む形状のPCが花盛りです。

大阪にいた1996年あるいは1997年頃、 日本橋の T-ZONE で 5538 の処分品がかなりのディスカウント価格で売りに出されていて、私は大いに迷いました。 値引きされているとはいえPENTIUM搭載の互換機と比べるとまだまだ高価で購入することができませんでした。 

Peter氏曰く; 
「 海のこちらでも (大陸のこちらでも、かな) 話は一緒だニャー。 モノは PS/2e 9533 "Pizzabox"、発売当初 IBM のお値段は"cash-killer " でしたワン。 
  '97 頃に スーパーやコンピュターショップで安物の12"DISPLAYとセットでバーゲンセールで売りにだされたもんですが、 一般的なユーザーにとってパフォーマンスを考慮するとそれでも結構なお値段でしたニャー。 大量に売りに出された PS/2eを 見たとき購入しようと思ったものの値札を見て躊躇してしまいましたニャー。 なにしろモニタ付の P-90マシンが 750マルク を下回っているというときに、 PS/2e は 950マルク もしましたワンワン 」
       
     ( 注; 原文はもちろん 猫語 ではない )
 

PS/2e については以下のサイトでご確認ください。
9533 PS/2e.                        例によって Louis Ohland さんのサイト(Mr. Slavotinek's Version )
The PS2/E and Linux       Peterさんの PS/2e システム概要と Linux SuSe 6.1インストールのハウツー 
MADMax Extream 
            Tamさんの PS/2e 画像集 (アーカイブです)

 

 



 Model 5537-Z
"LCDパネルなしの 5538-Z ". というところ

  CPU        SL Enhance i486DX2-50MHz
  VRAM     1MB
  VIDEO     SVGA/ 1024x768 256C;  S3 Vision 86C928 
  HDD       170MB/340MB/520MB
  SCSI       FutureDomain 
  PCMCIA Type-III x4 
  Audio     CS4248KL ( ステレオ IN/OUT )

  モノリスと呼びたくなる

  CS4248KL用 Win95 ドライバ
     TP750 シリーズ用 サウンドドライバが使用可能
     ( 何故か 2度 導入しなければいけません)

 

PS/55E はその後 P-90 のモデル 6870 PC710 へと発展し一旦はこの系統は途絶え増したが、その後 P-II 、P-III で復活したようです。 


 

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