Video/日本語 Display Adapter
                                                    For High Quality Japanese Fonts
 
 
     AVEC シリーズ
 初代Display Adapter
 Display Adapter II
 Display Adapter III
 Display Adapter IV
 Display Adapter V
     BVEC シリーズ
 Display Adapter B
 Display Adapter B-II
   Old
   New
           DBCS シリ−ズ
 DBCS Display Adapter /J
 DBCS Display Adapter /NI-J

高品位の漢字を表示する、これは日本IBMがパソコンを投入するに際して最初からこだわったていたことのようです。 
IBM PCは  720x35textのみのモノクロのMDA あるいは 640x200 2色の CGAにより始まりました。 一方日本では漢字を表現するためには上記の解像度では圧倒的に不足しており漢字1文字あたり最低でも 16X16ドットを必要としたことからNECの PC9801は 640x400という比較的高解像度で1982年ごろにスタートしました。 
日本IBMはマルチステーションを開発するにあたり省略なしの高品位漢字を表示するために 16x24ドットフォントを採用し結果的に PC9801の上を行く1024x768 という高解像を採用しました。 IBM PCの方はその後 1984にEGAそして PS/2 とともにVGA、8514/A へと発展しましたが、8514/Aは マルチステーションの技術がとりいれられたもののようです。日本IBMはPS/2 の兄弟機である PS/55を開発するにあたり、マルチステーションの日本語表示カードを更に発展させてMCAに適用しPS/55日本語表示装置として1024x768 16色もしくは256色という規格により KDOS3.4 更には JDOS4.0 との組み合わせで引き続き 24ドット文字によるそれは美しい日本語表示を提供したのでした。 職場で初めて PS/55の画面を見たときはとても感心しました。 同時にNECやEPSON機の表示文字があまりにみすぼらしく見えたものです。 Windows 3.0の発売の頃は JDOS と日本IBM版WINDOWS はPS/55の高解像度日本語表示とあいまってそこそこの優位性を持っていましたがDOS/V の展開・浸透と共に低価格の互換機向けに高性能SVGAカードが提供される一方 MCA のPS/55はというと本家のXGA、XGA-2のみで (海外では ATI とか MATROXが高性能アダプタを販売しましたが) カードベンダーはライセンスを必要とする MCAアダプタを開発することはありませんでした。 DOS/V は日本のPC市場を大きく変えましたがある意味ではPS/55の寿命を縮める (遅かれ早かれそうなる運命だったとは思いますが) 両刃の刃だったようにも思えます。 
考えようによっては閉鎖的市場で高価格路線であぐらをかいていたのは何も NECに限ったわけではなく、高品位・高性能・高信頼性 を売り物にビジネス市場を主にしていたPS/55 にも同じ事が言えるのかもしれません。  高度な技術力が必要だとはいえ、日本語D/A を始めとするMCAアダプタ類はヒジョーに高額でした。 個人の懐を相手にしていない商売では成り立っていたのかもしれませんが、 PC が家庭に一台の時代に突入しようという状況では価格競争力という観点ではとても立ち行かないことは今にして思えば当然だったろうと思われます。
話がそれましたが、PS/55日本語表示アダプタは当時のPCマーケットにおいて他を寄せ付けない技術力の結晶であったと言えるのではないかと思います。 

 

 

1981 1982 1983 1984 1987 1990
IBM US MDA CGA ---- ---- ---> EGA  ----> VGA   &   8514/A  --> XGA
640x200
2C, 4C
640x350
16C
640x480
16C
1024x768
256C
1024x768
256C
  
IBM JP マルチ
ステーション
------ ----> PS/55 D/A  ---- --> XGA
VGA DOS/V
1024x768
16C
1024x768
16C, 256C
1024x768
640x480
16C/256C
  
NEC 他 NEC PC9801 ---> ------ ----> AX JEGA ------ --> VGA DOS/V
640x400
16C
640x480
16C
640x480
256C


AVEC Series 

AVECシリーズのPS/55日本語表示アダプタは 386を採用した 5550 5570 など初期のシステムに採用されました。 
これらの PC はシステムボード上にVGA CHIPを搭載しており、高解像度の日本語表示関連を アダプタ側で提供するものでした。  AVEC は Auxiliary Video Extension コネクタ ( 補助ビデオ拡張 コネクタ ? ) の略称です。

 

初代DISPLAY ADAPER 
 
ID#4773089 ( 94X0968?)
  以下の3枚の基盤で構成されます。
    P/N  94X0970  DISPLAY ADAPTER BASE CARD
    P/N  94X0971  DISPLAY ADAPTER SUB CARD
    P/N  94X0972  DISPLAY ADAPTER FONT CARD

11-87 の システムガイド によれば 「表示装置アダプター」 価格は ¥320,000 ( PCが一台買えそう )  2スロットを占有する3層構造のゴツイカードで PS/55の一号機 5570-S に必須なるも オプション扱いで用意されていた。    一度ジャンク屋で見たことがあるだけでどういう素性のものかよくわかりません
 

Display Adapter II   ( AVEC )  
P/N 38F4650 (  ノートには別の P/N  94X1649 が記録されているのだが、手元のカードは 38F4650 となっている) 。   このアダプターは5550-S/T などに搭載されていたものと思われ512KB 1MBのVRAMを搭載します。ドーターカード方式で さらに512KBを追加  できるようになっています。 
画像 
DA-II 旧(Front)DA-II 旧(Rear)、 DA-II 新(Front)、 DA-II 新(Rear) 

適合モニタ-
カラーモニター ; 5574-C05/C06/C07/C19、8515-A01、
モノクロモニター; 5574-M06(黄色)/W06(白色)
以上は他のADAPTERにも対応していますが、その他に5574-C09 がDISPLAY ADAPTER-II用として注記付きで紹介されています。

 

追記 
Display Adapte-IV を除きVRAMは1MBを搭載しており、 J1, J2 ( IVではJ1) は追加のFONT ROMカード用のコネクタではないかと思わます。
 
PCガイドブックにはそれらしきものとして以下のOPTIONが掲載されています
 #6113276  漢字フォント・カード (フォント24用)
 #6342422 ハングル・フォント・カード (フォント24用) 
 #6342425 中国漢字フォント・カード (フォント24用) 
 #6342429 中国語フォント・カード (台湾地区フォント24用)


Display adapter III   ( AVEC )    P/N  64F8907  
DA-IIの改良型で発売時期により5551/5571に搭載されたのではないかと想像します。 聞くところによれば これの REV-B はほとんど DA-V と外見上は変わらないようです。
 


Display adapter IV   ( AVEC )    P/N  38F7016       
P/N 38F7016  ( こちらも上記同様 P/N 79F5417 という番号がノートに記録されていたりする。)

5530Z-SX ( そして多分5530-T )の標準アダプタ

もしかすると2種類のカードが存在するのかもしれません。というのは 別P/N の 512KB VRAM OPTIONカードが システムガイドに記録されておりいずれも DISPLAY ADAPTER IV 用ということになっている。   ちなみに一つは 38F7075 でもう一つは 64F9668.

このアダプタは VGA Chip ( 90X8941) を実装しており、それでいてMCAコネクタは AVE という変わりモノです。
5530 は ZSX あるいは T いずれもシステムボード上にVGAを持たないので アダプタ側に持つというのは当然といえば当然なのですがそれにしても AVE というのが変わっていて、しばらくの間てっきり BVEC カードだと思い込んでいました。



 


Display adapter V   ( AVEC )   
P/N 56F7520
これはどのモデルに搭載されていたのかわかりませんが、386機でも V2を除く比較的後期のモデルで使用されていたのではないかと思います。
 (  いろいろ調べた結果、搭載機は  5551-S1/T1/V1(つまり STAGE-II 以降 ) と 5571-V1 ということだったようです。)

「5550-S/T Stage-II サービス・サマリー」には対応モニターとして5574-C05/06/07の他に 5574-C19(PN 64F8475)がDisplay Adapter-V用として記載されています。 


U1   FONT 94X1320 
U2   38F4782 PG/TC110G38AF 
U3   56F7478 PV/TC110G38CG 
U4   38F4782 PG/TC110G38AF 
U5   56F7478 PV/TC110G38CG 
U7-13, 17- 48: 65X2554
                         (41465 ZIP) 
U14  56F7477PD/TC110G38AF 
U15  54F7479 PC/TC110G17AF
U16  DAC 83X3208

J1 60PIN Connector 
J2 40PIN connector
ZIP RAM below J21 65X2554




BVEC Series 

システムボード上にVGAを持たない機種向けに開発されたVGA機能を持つアダプターです。 
BVEC は Base Video Extenstion コネクタ のことで上記 のAVEC とコネクタの位置が異なります。

Display Adapter  B-1
P/N 64F9134
VRAM拡張ボード P/N 64F9135
ハーフサイズのカードのようですが詳細はわかりません。

会議室のログによれば
このカードは DA-IV の亜種のようでAVECグル−プに入れたほうがよいのかもしれませんが実際にコネクタ配置を見たわけではないので一応 B-1 となっていることからこちらに置いておきます。 VRAM増設コネクタが IV と異なるようで流用できない模様。 

Display adapter B-II   ( BVEC ) 旧バージョン   
旧タイプ ( VRAM は通称ドミノ と呼ばれたりする ZIPタイプの横長のものです) 
P/N  79F2159
FRU  ?

5541-T( 386-20), 5561-W( 486-33),  5580-Y,  あたりで使用されていたようです。

このアダプタは同一P/Nでパーツレイアウトが AVEC の V型 によく似たバージョンが存在するのかもしれません。
5541-T のパンフに使用されている内部写真に見えるアダプタは(単なる撮影用のダミーでなければ)手持ちのB-II と異なりますが、保守マニュアルには [表示装置アダプタ」 として P/N 79F2159 が記されています。

U1 VGA-FP 90X8941 
U2 - U25   41465 ZIP 
U27- U34  41465 ZIP 
VRAM ( VGA ) M5M4464AL 
U48  DAC 83X3028 
U51  PG144-FP 38F4782PG 
U52  PV144-FP 56F7478PV 
U53  PG144-FP 38F4782PG
U54  PV144-FP 56F7478PV
U55  PD144-FP 56F7477PD
U56  PC144-FP 56F7479PC
U57  FONT 94X1320

Y1   25.175MHz 
Y2   28.322MHz
Y3   45.570MHz
Y4   45.570MHz
Y5   47.424MHz 
ZIP RAM beside Y3  65X2554 x8
J1    Solder pads 
J2    Video Output

Display Adapter B-II   
新タイプ 
P/N  79F5413
FRU ?

VRAM がZIPタイプからSOJタイプに変更されています。違いはよくわかりませんが、旧型 は5551-N では使用不可で、こちらの方は 5551-N でも使用することができます。 
5551-N (あるいは 5551-W )は 後述の DBCS DA-J を搭載しますが、 この DA B-II に変更すれば機種専用品でなくても JDOS 4.0 を導入することができます。 ( アプリケーションを乗っけたことがないので100% OK どうかは保証の限りではありません )

 

U1-U7 MHS511665JP8
U8-U9 TC511664J-10 
U10    VGA 90X8941 
U12    ROS 79F5421
U14    HM511664JP8 
U15    HM511664JP8 
U18    HM511665JP8
U19   39F4782PG/TC110G38FG 
U20   56F7478PV/TC110G38CG 
U21   38F4782/TC110G38AF 
U22   56F7478/ TC110G38CG
U23  79F5427 PD7/TC140G37AF
U24  54F7479 PC/TC110G17AF
U25  DAC  INMOS IMSG176-J66
Y5    47.424
J1    Solder Pads
J2
    
Video Output
Y1    25.175
Y2    28.322
Y3    58.000
Y4    45.570
Y5    47.424


DBCS Series 
DBCS シリーズは 486系の新しいモデルとともに投入され、開発にあたってPS/2との互換性を持たせたというように聞き
ますが決定的な違いはよくわかりません。  少なくとも DA-III をPS/2 8570で使用したときはそのままでは Mono表示なり、5550 についていたMONCHK.EXEをAUTOEXEC.BATの先頭に記述して初めてカラー表示が可能でした。
その後 DBCSシリーズではやってみようと思いつつもまだ試していないので 互換性うんぬんについてはよくわかりません。

DBCS Display  Adapter/J    
P/N  49G2000
FRU 07G0446
5551-N/Y、 5551-W に標準付属のアダプタです。. 
価格  1994年7月時点で \154,600-
           1〜2年前に(2001年ごろ )秋葉の某ジャンク屋に\9800で置いてありました。 希少品 と
         言う意味では事実ではありましたが (今も ) 二つのゼロは店主の勘違いとしか思えな
         かった。     .....が、どうしようもなく必要な人もいるのかもしれない。
 

このアダプタ はJDOS 4.0 の普及品 ( ID #5605ーPAA ) バージョン 4.01 では使用できません。

U1-7  1M W/B  HM511665JP8
U8-9  1M B/W  HM511664JP8
U10   Video 34G3196
U11   79F5427 PD7 /TC140G37AF
U12/15 1M  B/W HM511664JP8 
U13   1M  ROS  79F5424 
U16   DAC Unable to identify 
           ( heat sink is glued )
U17   1M W/B  HM511665JP8
U18   38F4782 PG/TC110G38AF
U19   56F7478 PV/TC110G38CG
U20   38F7482 PG/TC110G38AF

U21  Unable to identify 
          heat sink is glued atop of the chip
U22  06G6722/BUSCON
Y1    45.570
Y2    58.000
Y3    47.424
Y4    25.175
Y5    28.322
Y6    41.5390
J1    Video Output



DBCS Display Adapter/NI-J   
P/N  54G1464
FRU 54G1463
価格  1994年7月時点で \108,300-   見た目にはこちらのほうがゴージャス、ついでにノンインターレース....

これは最後の日本語D/A で 5551-R/L 5530-L そして 5521-Y1B などに搭載されました。.
お尻の "NI" は  "Non-Interlaced"を表しています。 U8 の茶色のCHIPがいかにも「高性能」という雰囲気をかもし出しています。 ( ほんとうの最後という意味では PC720 6860-JZG に搭載された専用 の NI-J があります )

  JDOS 4.0 の制限はたぶん DBCS DA-J と同様だと思います (まだ確認していない )


 

U1-2   HM511664JP8
U3        662G8275/HN62418FZ10
U4-5   TC51664BJ-80
U6-7   76G9119 
U8        66G9060PGV2/TC6217TF 
U9-10 76G9119 
U11      ICS 9412 9128-42CW16 
U12     34G3155 

U13  54G1466
U14  79F5427/TC140G37AF 
U15  06G6722
U16  INMOS IMSG176J-80
U18  Adapter ROM 85G7137
J1    Video Output



Win95 と PS/55 日本語 Display Adapter
Win 3.1J 付属の PS/55日本語ディスプレイアダプタ用のドライバは Windows 95でも使用することができます。
このドライバを使うと一応 1024x768の解像度が得られますが、いかにも 遅い です。
基本的にこれら PS/55日本語表示アダプタは JDOS (そしてWin3.1 )止まりだと思います。.

ドライバの導入方法は How to use PS/55 Display adapter family under Win95. をご覧下さい。

 

 
なぜか最後に大事なことを
以上の日本語DISPLAY ADAPTERはVGAポート9番PINに+12Vが給電されます。 
対応する5574-C05/06/07、M06/W06 のモニターはこの12Vでモニター内部の電源リレーが電源供給を制御します。
すなわち5574の電源スイッチは通常「ON」位置にしておきPCシステム側の電源のON/OFFで5574を制御します。
5574は長残光性のインターレース仕様ですからSVGA表示には適していませんが日本語DISPLAY  ADAPTER以外のビデオカードに接続するときはモニター内部のリレー回路をスキップさせてやらないと通電しません。
8515-A01. 8513-001 などは内部リレーはありません。



PS/55 Index