概略
5545-T は PS/2 8573 P-70
のPS/55版で、日本IBMによるワールドワイフドモデルの走りといえます。
私は以前は 米IBMによる P-70
を日本IBMがリアレンジしたもほかと思っていたのですが、実はそうではなくて本機は日本IBM
大和研究所による開発であったようで、日本市場向けの 5545-T、 PS/2マーケット向けの 8573 P-70
というのが正しいようです。
外見はアタッシュケースそのものです。
発売は1990年5月で一番の特徴はオレンジ色のガスプラズマDISPLAYと本体の蓋をかねるキーボードにあります。
CPU はいまや骨董品ともいえる 386DX-20、 ESDI HD、MCAスロット2口
(うち一つはハーサイズカード専用 )、外部出力はパラレル、シリアル 各 1、
マウスコネクタ、および外部DISPLAY出力端子を備えています。
当時としては充分だったのかもしれませんが、今時 ESDI HD
なんて入手困難ですから、本機をまともな状態で保持していくにはこの先心配なものがあります。
PS/2 としては 後継機 に P-75 という 486DX-33 を採用し、SCSI
インターフェース搭載、XGA DISPLAY
というかなりのスペックのマシンが用意されましたが、残念ながらPS/55としてはP/75相当機種は発売されませんでした。
486時代には日本市場は既に THINKPAD
が可搬型PCの主流となっていましたので、 P-7x
のような形状は市場ニーズにマッチしないという判断があったのでしょう。
日本IBMによる開発という事は外資系企業では P75
も流通したのではないかと思いますが、いまや 5545-T
すらほとんどお目にかかれることはないので
P-75にいたっては国内ではまず入手不可能と思われます。 当方所有機は
PCリサイクル方施行直前の 2003年 9月末、所有する486系
PS/55をやむなく整理する作業を進めるなか、大事に保管されていた前オーナーのご厚意で
「現状 画面出力せず」
という状態で譲っていただきました。
その際残留PC総数の制約から 486の 5530-L
を処分してしまいました。 30-L
も5530系最終型という記念すべきモデルなのですが、 5545-T
は386とはいえ
MCAコレクターの私としてはほうって置けない魅力があります。 前面蓋がキーボードを兼ねるという形式は富士通ワープロのオアシスなどと似たような形式で、他にはCOMPAQ
PORTABLE などもあります。
プラズマユニットは傾斜可能でこれも
オアシスなどでも同様ですが機構はなかなか優れています。
また右側に配置されたFDDユニットは上部が前方にせり出してくるなかなか面白い機構となっています。
可搬型
とはいうもののかなりのサイズと重量ですので省スペースDESKTOPというところでしょう。
蓋を兼ねるキーボードは 5576-002 と同様のALPS
スイッチを採用し、且つキー配置も 002型となっています。
PS/2
P-7xの場合は通常の101レイアウトですのでその気になればケーブルを作り変えて最近のPCで使用することも可能でが、
5545-Tのキーボードは 002配列ですので Win2000
やXPでの使用には一工夫必要です。
P-70の場合はVGA
として紹介されていますので、PS-55高解像度表示の 5545-T
はこの部分が異なるようです。また マザーも
差異が認められます。
入手時の復活経緯はこちらをどうぞ
PS/2 8573 P/7x については Asrdent
Tools、 Shorney氏の P70
Project をご覧下さい
リファレンス ディスク
386系5550用 共通の Ver.1.50(DOS/V版)が使用可能です。
手元に 5545-T ver3.
というものがありますが何故かこのリファレンスは当方のマシンに嫌われました。 その時は画面出力が得られない状態での作業でしたので理由はよくわかりません。
結局 5530-T から 386系5550 をカバーする DOS/Vベースの Ver. 1.50
で構成しました。
完動状態の現在であれば本機は日本語DISPLAY ADAPTER
同等機能を持ちますのでVer. 3でも行けるかもしれませんが、敢えてそうする必要もないのでJDOS版はその後試していません。
タイプ バリエーション
|
PS/55
|
PS/2
|
|
5545-T06、T08 |
8573 P70 |
8573 P75 |
CPU |
386-20 |
386-20 |
486DX-33 |
コプロ(op) |
80387 |
80387 |
CPU内臓 |
バス |
MCA 32bit |
MCA 32bit |
MCA 32bit |
メモリー |
2MB(最大 16MB) |
2MB(最大 16MB) |
2MB(最大 16MB) |
FDD |
1.44MB/720KB |
1.44MB/720KB |
1.44MB/720KB |
Display |
ガスプラズマ
PS/55日本語表示 |
VGA |
XGA |
HDD
|
ESDI
60MB T06
120MB T0B |
ESDI |
SCSI |
I/O |
パラレル、シリアル
マウス |
パラレル、シリアル
マウス |
パラレル、シリアル
マウス、60pin SCSI |
EX DISPLAY
Port |
有り |
有り |
有り |
拡張バス |
フルサイズ X1
ハーフサイズ X1 |
フルサイズ
X1
ハーフサイズ X1 |
|
拡張ストーレージベイ |
無し |
無し |
無し |
Dimension |
465xx125x307 |
|
|
Weight |
9.8 kg |
9.8kg |
|
Keyboard |
一体型
5576-002配列 |
一体型
US101 LAYOUT
|
一体型
US101 LAYOUT |
スペックを見るにつけ P75 が欲しくなってくる ....
純正optionではありませんが海外では P-7x
を旅行などで持ち運ぶためのキャリングケースが販売されたようです。
5545-T システムボード
P-7x のシステムボードは こちらを参照ください 当方のは画像紛失
誤って元にしてたPC720の部品説明表をそのまま載せてました。 ゴメン m(_
_)m_ |
CPU
5545は386DX-20 を採用した Tモデルのみ発売されました。 80387がオプションで用意されていました。
先にも書きましたが PS/2 では 486DX-33 を搭載する P-75
があります。
486搭載機であればCPUをFLATタイプのam5x86などを使用することで
Win95
あたりまで充分いけるのではないかと思いますが、ないものねだりをしてもしょうがありまません。
eBayなどでは時折 P-75
の出品がありますが、送料を考慮すると相当な出費を覚悟する必要があります。
CPUアップグレード
マザー上でやるとするえば Evergreen 386dx3+ (IBM486BL-3)あたりが可能です。 他には TI
のアップグレードCPUというところ。 ただし実際に試したわけではありません
スロットの制約がなければ KINGSTON の MCMaster
も選択肢に入りますがゲタ、FANが必要になる
5x86系はまず無理でしょう。
SIMM
85ns のIBM独自規格のSIMMが必要で マザー上に
4スロット、計 8MB を搭載可能です。
スペック表の最大搭載値は日本IBM発行のPCガイドブックによるものですが、これは
2-8MBメモリExpansionを使用した場合の搭載量だと思われます。
ハードディスクインターフェース
386時代を象徴する ESDI
ハードディスクを採用しています。
入手可能なドライブとしては160MB
あたりが上限となりますがまず手に入れることはほぼ不可能でしょうから搭載品が不良になるとどうにもなりません。
DATA CARD MC32を使用すればメモリ追加と同時に IDE
2.5インチハードディスクが使用可能となりますが、フルサイズスロットは1口しかありませんので悩むところです。
もう一つの選択肢として日本独自の 2.5" SCSI
HDを基盤上に搭載する SCSI /A P/N 35G3785
を利用する手がありますが、容量の大きい 2.5"
SCSI HD はほぼ入手不能という難題にブチ当たります。
P-75 の場合は SCSI
をオンボードで搭載しており拡張性の面で格段に優れています。
CD ROM
パラレルポート経由のIMESのドライブあたりが可能ではないかと思いますが....物がないのでこのあたりはなんともいえません。
BUS ライザーカード
ビデオ
5545の場合は
PS/55日本語表示となっており、即ち高解像度表示が可能です。
マニュアル、ガイドブックなどが無いのでよくわかりませんが、所有する5545-Tはとてもチッコイ文字でDOSが表示されます。DOSV
INI
を書き換えれば普通サイズで表示できるのでしょうけど、DOSは忘れたのでそのままにしてます。
P-70 のVGA表示と異なり、VIDEO ボード上にPS/55表示用のSUB
BOARDを取り付けるようになっています。
ガスプラズマ DISPLAY
は...あまり見やすいものではありません。
Video用ドーターカード(ADD-ON Card )
正体がよくわかりません、画像も残っておりません。
電源ユニット
最大消費電力 ; 154W
通常時
; .
キーボード
ガスプラズマDisplayと並びキーボードは
5545の特徴のひとつです。 P-7x のキーボードは pingjinboさんによる
鍵盤午訪斎 のこちらのページで紹介されており、
5545キーボードも基本的には同一なのですが、5545-Tの場合当時の日本IBMの主力であった
5576-002配列となっており、 ALT KEY、Ctrl Key の配置がその後の
A01配列とは異なっています。
キースイッチは 002同様 ALPS製の
リーフスプリングを用いており、その感触、打鍵感は非常に似ています。
キートップは一体構造でこの点は5575-002とは異なります。 加えて002のような鉄板はありませんので打鍵感を損ねています。持ち運び可能
( LUGGABLE )
という事を打ち出したPCですから重量軽減のためにも鉄板BACK
PLATEは省かあるを得なかったのでしょう。
キーボード本体側のコネクタ・プラグは PS/55
用のそれと遠目には似ていますが実際はかなり異なります。
プラグ・コネクタは
HIROSE製で現在でもHIROSEのカタログに出ていますがレセプタクルは今でも取り寄せ可能ですが、Rアングルのプラグは在庫無し(
2003年 10月現在 )ですが発注することは可能です。
秋葉原の西川電子部品(株)で取り扱っており、一見無愛想に見えるスタッフの皆さんは実はとても親切なのであります。(西川電子さんは移転したようで二年ほど前に行ってみたらもうありませんでした。
2023. 03)
キーボードそのものの詳細こちらのぺージを参照してください。
本体の全体画像....もどき |
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キーボ-ドを分解した時の画像なので全体を捉えていませんが、画像ファイルは他に残っていない。
譲っていただいた方には本当に申し訳なく思っています。
廃棄する前に倉庫を持っているという知人に引き取りを打診するべきだった反省しています。
もっとも倉庫(納屋?)をお持ちだと知ったのは数年後のことなのだけど... |
PS/55 Index
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